切手デザイン

切手デザインノート

「切手デザインノート」では、切手デザイン室のスタッフがいま携わっている切手について、生の声をお届けするコーナーです。ここでしか聞けない話の数々、どうぞご期待ください。初回は昨年発行された「国際文通週間」のデザインを担当した玉木明さんです。

第1回 浮世絵をそのまま使ってもダメなんです。

「国際文通週間」の切手デザイナー 玉木 明さん

切手デザイン担当 デザイナー
玉木 明(たまき あきら)

国際文通週間(小切れ)

玉木さんはいままでにどんな切手を手掛けられましたか?

玉木(以下、T):

記念切手だと最近では「近代製鉄発祥150周年」、準特殊切手では、広重に切り替わってから(2001年~)の「国際文通週間」を担当しています。

「国際文通週間」は郵趣家の人気も高いシリーズです。それを意識されますか?

T:人気が高いシリーズだからといって、「重圧」みたいなことを意識したことはあまりありません。どんな切手を担当するときも、いちばん良い仕上がりになるように努めるので、そういった意味で区別はないです。

国際文通週間」では題材によく浮世絵がとりあげられますが、そこでのご苦労は?

T:入手できるのは、1枚の浮世絵の画像であったりポジフィルムであったりするんですが、これをそのまま使えるわけではありません。というのも、長い時間が経過している浮世絵は、色が褪せていたり、紙が傷んでいたりするからです。
だから、印刷も含めこの切手を作っていくことは、「再現」というより「復元」の意識に近いものがあるかと思います。時代と共に退色し傷んでしまった原本を想像して、制作された当初の状態を復元していくわけです。
ある意味で、その作業は「クリエイティブ」だと感じます。自分ではその工程を楽しんで仕事をしています。

取り上げられる代表的な作家に北斎と広重がいますが?

T:あくまで私見ですが、美術、造形としてすごいなと思うのは、北斎だと思います。ただ、だから広重より良いというつもりはありません。広重の世界には北斎にはない湿り気のようなものがあって、そこに広重らしさがあるように思えます。文学性というか、叙情性、物語性が感じられるんです。

よくいわれることですが、〈東海道五十三次〉の残りの点数が少なくなってます(笑)。

T:国際文通週間は、毎回3種の額面※1があるので原画の消化も早いんですけど、それでもこのまま続いたとしても、まだいくらかはありますし、ほかにも紹介していきたい揃物はたくさんあります。

記念切手
近代製鉄発祥 150周年記念

他に最近、担当された切手は?

T:「近代製鉄発祥 150周年記念」があります。

この中の「高炉イメージ」は、イラストも玉木さんですね。「国際文通週間」のように原画ありきのデザインと、サラからつくるものでは取り組みに違いが?

T:まっさらからつくる・・・という感覚とはどんな切手でもほとんどありませんね。テーマはあらかじめ決まっているから。そのテーマの枠の中でこちらの「イメージ」と、その記念事項の主催者や関係団体等の「意見」との折り合いをつけていくわけです。

デザインをしているときに、「郵趣家の目」は意識されますか?

T:あまり意識はしないです。ただ、自分もユーザの一人として、いつも「自分が気に入るもの、自分が使いたいもの」を作ろうという気持ちはあります。自分で買うし、自分でも使う。そういうものを作りたい。

そうして制作した「作品」を、手紙やはがきに名刺代わりに貼れますね。

T:それが切手デザイナーに許された唯一の特権です(笑)。


また、お話を聞かせてください。ありがとうございました。

T:ありがとうございました。

(インタビュー・文責:切手デザインWeb編集部)

※1 国際文通週間の額面は、国際郵便で第1地帯(アジア、米国の海外領土、パラオ他 )、第2地帯(オセアニア、中近東、北米、中米、西インド諸島、ヨーロッパ )、第3地帯(南米、アフリカ )に手紙を送る際の各最低料金である90、110、130の3種で構成されています。

次回「切手デザインノート」は、2月17日の更新を予定しています。


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